転職時の適性検査の対策
採用した中途社員が入社後、会社や職務に合わず退社してしまうというミスマッチを防ぐため、採用時には適性検査を実施する企業が多く見られます。
さらに面接試験を受ける人をふるいにかけるための足切り試験として利用する企業も少なくありません。このため、転職活動をする方には適性検査についても知識を深め対策を採ることが求められます。
ここでは中途採用で実施される適性検査の目的や内容、対策方法、採用基準などについてご紹介します。
中途採用時の適性検査ってどんなことが行われるの?その目的は?
適性検査は、学力を調べる「学力検査」、性格や適性を調べる「性格適性検査」に分かれ、両方を実施する場合と性格適性検査のみを実施する場合があります。
企業の採用担当者は、募集職種の特性に応じて必要な検査を導入します。
学力検査(能力検査)
■内容
学歴では判断できない論理的思考力や一般常識を問う検査で、正答数に従って順位付けできるので、選考に使いやすい指標になります。
■目的
コンサルティング業界など高い論理性が求められる職種では思考力を測り、経営企画や財務管理などの職種では計算力や数字の分析力を測ります。
このように、どの職種でも不可欠な基礎学力と、職種によって必要な特定分野の学力と両方を測ることを目的としています。
性格適性検査
■内容
面接だけではわからない性格や適性を、統計・心理学的データから測ります。
■目的
検査結果も人によって異なるため、優劣を付けるものではなく、募集職種と応募者の性格や適性が合っているかどうかを測ることを目的としています。
特に中途採用の場合は、採用したい人物像が明確になっており応募者がマッチするか否かを判断しています。
転職時の適性検査の種類
適性検査を実施する場合、検査を外注する企業、自社で作成する企業に分かれます。
主な外注先(適性検査販売会社)と適性検査には、リクルート社のSPIシリーズ、日本SHL社のCAB・GAB・玉手箱、ヒューマネージ社のTG-WEBなどがあります。
中途採用時に多く利用されるのが、リクルート社のSPI3-G、IT業界のエンジニア採用に多く利用されるのが日本SHL社のCABと言われています。
尚、このような検査には学力、能力を測る検査と性格や特性を測る検査の両方が含まれています。
SPI3-Gとは
リクルート社が作成した中途採用者向けの適性検査であり、性格特性(環境や状況によって変わりにくい行動のベースになる性格特性)、能力(思考力、判断力、コミュニケーション能力、応用力などの汎用的な能力)を測り、面接で採用担当者がチェックするポイント、職務適応性、組織適応性が明確に示されます。
実施方法は、パソコンで受検する場合はテストセンター、インハウスCBT(応募企業内で受検)、WEBテスティング(WEB経由でどこでも受験)、パソコン以外ならばマークシートで受検するペーパーテスティングという受験方法があります。問題集が市販されているので事前に準備することができます。
転職時の適性検査の対策方法
ここでは主に適性検査の学力や能力を測る問題の対策についてお知らせします。性格や資質に関する検査は特に対策はありませんが、自分はどんなタイプか見直しておくと良いでしょう。
どのテストを受けるか調べる
適性検査ではリクルート社のSPIを利用する企業が多くみられますが、SPI以外にも玉手箱、CAB、TG-WEBなどさまざま検査があります。また、自社で作成する企業もあります。
このため、応募企業がどの検査を導入しているのか、エージェントに問い合わせる、Webなどで調べる、企業から送られてくる資料に適性検査URLが掲載されていたらURLを参照しましょう。
もし分からない場合は、市販されている検査の対策本や問題集をできるだけ多い種類に取り組むことをおすすめします。
事前にトレーニングして慣れておく
問題集などを購入して練習しておきましょう。斜め読みする程度では不十分で、とにかく自分の手で解きましょう。特に不得意分野は繰り返し取り組むことが大切です。
スピードアップを意識する
適性検査は問題数が多いため時間オーバーになることも少なくありません。試験当日は白紙で出す問題があっても安心してください。
しかし、自宅で学習する際には制限時間を意識してスピードアップする努力をしましょう。問題文は速読で理解し計算問題は速く正確に解く練習を繰り返し行ってください。
適性検査でどんなことが分かるの?
一般的に適性検査では、知能、特定能力、性格(活動性、社交性、慎重性、固執性、主体性など)、意欲(向上欲求、挑戦欲求、自立欲求、探求欲求、啓発欲求、承認欲求など)、態度、職業興味、ストレス耐性、ポジティブ思考/ネガティブ思考などを測ります。
例えば営業職の場合は、粘り強さ、積極性、コミュニケーション能力、柔軟性などが求められますが、採用担当者は適性検査を通じて応募者が必要な要素を兼ね備えているかどうか、応募職種との相性が良いのかどうかを短期間で効率的かつ客観的に知ることができます。
このほか、面接時に確認した方が良い事項を洗い出す、採用後に上司との関係性をチェックする、長期間にわたりフォローする際の参考資料にするなど、さまざまな用途に役立つ情報になります。
適性検査での採用基準
応募者が多数の場合は点数で足切りする場合もありますが、基本的には応募職種に必要な能力や要件を満たしていること、職場や仕事内容との相性が良いことが採用基準になります。
企業は応募者がしっかりと仕事を遂行して実績を上げてくれるか、せっかく採用しても職務不適正というミスマッチによって退社してしまわないかについて最も知りたいのです。
転職時の適性検査で注意したい事
×軽視しないこと
転職成功が予想される場合でも、適性検査を軽視しないように気を付けましょう。
企業は適性検査を実施するために検査費用を支出しており、その支出を回収する必要があるため選考に力を抜くことはありません。
×回答の軸がぶれないこと
例えば「あなたは慎重ですか」「あなたは物事をじっくり考える方ですか」といったよく似た設問が複数に出されます。
回答内容の方向性が一致しないと、回答に信ぴょう性がないと判断されることがあります。嘘をつく、その時の気分で回答するなど回答の軸がぶれないように気を付けましょう。
×背伸びしないこと
応募者はどうしても自分を良く見せたいと思っても無理はありません。適性検査試験には、自分をよく見せようとする傾向をチェックするロジックが組み込まれていることがあります。
その場合は応答態度欄に「自分を良く見せようとする」と評価されてしまいます。
また、自分を偽って採用されたとしても、転職後に充実した会社生活を送ることが難しくなる可能性があり応募者にとっても決して幸せなことではありません。
まとめ
ここまで、転職時の適性検査の対策についてお伝えしましが、参考になりましたか?
中途採用の場合は新卒採用よりも限定された職種で即戦力として活躍することが期待されているため、適性検査を通じて組織や職務とのマッチングを重視する傾向が高くなっています。
また、転職活動をしている応募者にとっても相性の良さは重要なものです。転職活動をしている方は、事前に問題集などで学力や能力の検査対策をしっかりと行い、性格や特性については自己を見つめなおし、ぜひ転職活動を成功させてくださいね。