転職時の職務経歴書の書き方
日本の終身雇用時代は終わり、様々な理由から転職する人も増えてきました。
転職の際、履歴書と共に必須なのが『職務経歴書』履歴書で見られるのは、通勤可能な範囲であるかなどといった比較的事務的なもの。
それに対して、職務経歴書は応募した人の能力や意欲をシビアに評価されます。しかしそれは、応募者が自分をアピールできる大切なツールという事でもあるのです。
ここでは、転職者が職務経歴書を書く際に気を付けるべきポイントをまとめてみました。
職務経歴書の書き方
●A4の白地の用紙にパソコンで作成
(これ以外のサイズの用紙や、色柄付きなど残った用紙を使いますと、それだけでビジネスマナーを疑われかねません。)
●用紙1〜2枚にまとめる
(自分をアピールしたいからと長々と書くのも良くありません。伝えたいことを簡潔にまとめる力は、あらゆるビジネスシーンで問われるものです。)最低限、これだけは守りましょう。
職務経歴書
名前・・・山田 太郎
日付・・・平成○年○月現在
勤務会社名 勤務期間 |
勤務内容 | 勤務を通して得たスキル |
○○商事株式会社 平成○年○月〜平成○年○月 |
営業、イベント企画 |
取引先との信頼関係を構築する仕方 効果的な交渉方法 タイムマネジメント パワーポイントにおける資料作成 (スライド作成) プレゼンテーションスキル エリアマネジャー 当時流行していたコミック漫画とのコラボ展 当時流行していたアパレルブランドの誘致 |
株式会社○○企画 平成○年○月〜平成○年○月 |
イベント企画 商品開発 |
交渉により、お互いの利益になる企画の立て方 クライアントとの交渉 |
上記二社での勤務を通して、営業や企画の経験を積みました。また、その経験を通して人と関わる事の素晴らしさを経験したり、世の中を見る目を養ってきたりと自負しております。 今までの経験さらに深め、貴社に貢献させていただけましたら幸いに存じます。 |
上に示したものは、あくまで一例です。職務経歴書というのは、履歴書のような決まったフォーマットはありません。
必ず入れるべき項目は
- 勤務会社名
- 勤務期間
- 勤務内容
- 本人名
この4つくらいです。後は、本人が自由に付け加える事が出来ます。それだけに、応募者のプレゼンテーション能力や仕事への意欲などをアピールする事が出来ます。
自分が今までの職務の中で何を得たか、それらを次にどう生かしたいのかなどを『簡潔に』まとめることで採用者の目に留まる経歴書となります。
注意したい点
次に、職務経歴書を書く点で、注意しておきたい点をいくつか考えてみましょう。
■鰍ネどと略さない
こういう略式の仕方は、会社への敬意を疑われますので注意しましょう。
■フォントを揃える
一つの書類は必ず同じフォントでまとめておきましょう。明朝体が常識的なフォントです。
■言いたいことを簡潔にまとめる
上図のように表にまとめる、箇条書きにするのが基本です。
■必ず名前を入れる
基本的な事でありながら、意外と忘れられがちな点です。履歴書と一緒に送るのだからと油断してしまう人もいるようですが、名前の明記の無い職務経歴書は、その時点でそれ以上は見てもらう事はありません。必ず、書類の上部に名前を記入しましょう。
■プラスアルファを付ける
単に今まで勤めていた会社名や職務内容を書き連ねるだけでは、応募者の意欲や人間性は伝わりません。
その仕事を通して何を得たか、どのような実績を残したかを書くことは非常に効果的です。
理系、技術系の人は開発したシステムなどを、事務系の人は使用していたソフト名などを書き込むのも良いでしょう。
■専門性が強い職業の場合
システムエンジニアや看護師、デザイン関係など極度に専門性の高い職業の場合は、その項目を足すことも有効です。
それぞれの分野で○○の技術がある、経験がある、○○のソフトを○○まで使いこなせる・・・などあるかと思います。
上図の表に『スキル一覧』という項目を入れ、どの程度の仕事ならすぐに任せる事が出来るかを採用者がすぐに分かるようにします。
特にシステムエンジニアなどの場合は、OS,言語など非常に細分化された分野になるかと思います。
長くなるのは避けるべきですが、別紙に一覧表として添えておくのも有効でしょう。なお、その際も必ず自分の名前を明記することを忘れずにおきましょう。
その他
書くことが思い浮かばない、少ない場合
職歴も短く、書くことが少ない、思い浮かばないという方も多いかと思います。
A4サイズ一枚を埋めるのは大変そう・・・そんな不安がよぎった方もいるかもしれません。
その場合は
- 上図のように自己PR欄を作る
- 前職での仕事内容をじっくりと思い出し、何を得たかを改めて考えてみる
転職しようとする会社をじっくりしらべ、その業務内容に対して自分がどのように貢献できるかをPRするなどのようにするとA4はすぐに埋まるかと思います。
職務で得たものが無いと思う場合
一般的な事務職、販売職などだと自分の能力が自覚できない人も多いかもしれません。しかし、販売でしたら発注業務もあったでしょうし、お客様とのコミュニケーション能力も問われたことでしょう。
ポップ作成などの経験があれば、それは十分に強みです。一般事務ならば、使っていたOS(ワード、エクセル)のスキルや実務経験、備品管理なども十分に評価されうる経験です。
大切なのは、再就職先で求められる能力。そうでなくとも、『仕事を通して何かを得た』と言える人材は、採用側から見ると好印象となります。
正社員としての職務経験が無い場合
年齢にもよりますが、きちんとした理由があるのならば問題はありません。派遣、パート、アルバイトなどでもその業務を通して身につけたスキルが必ずあるはずです。
また、アルバイトなどの場合はその理由を履歴書などに明記しておくとよいでしょう。(資格試験に挑戦していたなど。)
病気でブランクがある場合
中には、病気などでフルタイムでの勤務にブランクがある人もいるかと思います。
正社員の場合は傷病休暇を貰えるものですが、派遣などの場合は退職せざる得ないのが現状です。その場合、採用者が一番心配なのは再発によって短期間で辞めてしまわないかという事です。
医師の診断書を用意しておき、必要でしたらそれを見せることができる旨を一言い添えておくとよいかと思います。また、首尾よく面接まで行けた場合はハキハキと受け答えをして現在は健康であることをアピールしましょう。
異種業界からの転職の場合
上図の見本では同種業界からのスキルアップを目指す人が書いた例です。しかし、中には異種業界から転職したいという場合も多いかと思います。
その場合でも、前職で得たスキルの中で必ずその業種に必要なスキルが含まれているはずです。
どのような職業でも必要とされるのはコミュニケーションスキルとタイムマネジメント能力です。またパソコン、語学なども比較的必要とされる能力となることでしょう。
大切な事は、やる気、熱意をアピールする事。まずは転職した異業種を徹底リサーチし、その職業の中に自分に生かすことのできる能力を見つけ出す事が大切になります。
参考記事→転職時の自己PRの書き方
退職回数が多い場合
長年の不景気で退職回数が多くなってしまった人も多いことかと思います。退職回数が多いとそれだけで嫌がられるのではないかと、不安になる人も多いかもしれません。
採用者にとって心配な事は?
- 人間関係でトラブルを起こしやすいタイプではないか
- 金銭面でのトラブルなどは抱えていないか
- 基本的な社会性が身についているか(少し注意されただけでキレたりパニックになったりしないか)
- 社会人としての基本的なスキル(期日までに必要なものを仕上げるなど)が身についているか
などです。ですから、転職回数が多い場合はそういった不安を払拭させるプラスアルファが必要となってきます。
例えば転職理由が本人の責任でない場合(不景気による派遣切りやリストラなど)は、その旨を書き込んでおいた方が良いでしょう。
また、率直に『転職回数が多くご不安に思うかと思いますが○○の理由などですのでご理解いただけたら幸いに思います。』などと書いてしまった方が好印象を持たれやすいものです。
文章から仕事への熱意が伝われば採用率は高くなるなります。
まとめ
いかがでしたか?職業の選択というのは生活の糧を得るというだけではなく、自己実現という意味も含まれることでしょう。どのような職業に就くかで、その人の人生は変わります。
それだけに慎重にデータを集め、自分の適性を見極め、必要ならば資格なども取得しておくことが大切です。
その上で自分のPRポイントは何か、自分が目指す企業にどのような形で貢献できるかをしっかりと把握し、職務経歴書作成に挑んでください。
職務経歴書というのは自分を採用者にアピールする非常に重要なプレゼンテーションツールです。採用者が読んだ場合は、自分をどのような人間だと判断するだろうか。
能力や人間性はきちんと伝わるだろうかという目線で読み直しながら書くことをお勧めします。この記事を読んだ皆さんが良い転職が出来、よりよい人生をつかみ取って出さることを願っています。