転職活動の準備について
皆さんは今の職場に満足していますか?
中には転職をお考えの方も多いかと思います。キャリアアップ、給与アップ、勤務時間を自分のライフスタイルに合ったものにしたい…転職を考える理由も、人によって様々かと思います。
転職を成功させるコツは、しっかりとした事前準備。ここでは、転職の準備についてまとめてみました。
転職職活動の期間
転職活動にはしっかりとした準備期間を持つことが必須です。最低でも2,3カ月はかかると考えましょう。準備期間の割り振りは次の通りです。
◆事前準備…自分の気持ちを見定める期間です。
転職を決意した理由は何か?
新しい職場には何を求めるのか?
自分の強みは何か?
など、自分の意思や方向性を見定め、書類などを用意しておきましょう。
また、この時点で退職申し出についての社内規定を確認しておくと良いでしょう。
◆応募、面接…『転職に成功したと思う人』は平均13社に応募しているというデータがあります。
面接も一社に付き3回程度行われます。この応募、面接のためにどれくらい時間が取れるでしょうか?
離職中の方ならともかく、就業中の方でしたら仕事との兼ね合いもあるでしょう。有給、半休などをどれくらい使えるのか。また、職種によっては午前と午後で開けやすい時間も違うでしょう。そういった事を含めて、この期間は最低でも1〜2カ月は見ておく必要があります。
◆退職交渉…首尾よく、目的の会社から内定を貰えたとします。
次はそこから現在の会社との退職交渉が始まります。退職の願いを出すには、一般常識的には一カ月前です。しかし、会社によっては社内規定で決められている場合があります。この点に関しては事前準備の段階で調べておくとスムースに行きます。
転職をするからには、納得のいく形でしたいです。事前準備は抜かりなくしておきたいものです。
また、先ほど2,3カ月はかかるとのべました。しかし中には、一年ほどかけてじっくりと転職活動をする人もいるようです。
転職活動の情報収集
準備期間についての理解ができましたら、次は情報収集の段階となります。転職してこんなはずじゃなかったと後悔するのだけは、絶対に避けたいところ。では、情報収集はどのようにして行えばよいでしょうか。
キャリアコンサルタントを利用する
ハローワークやジョブカフェ、民間の職業紹介会社などでのキャリアコンサルタントに頼るのは一つの手です。ただし気を付けたいのは、キャリアコンサルタント(キャリア技能士とも呼びます)と、キャリアカウンセラーとの違い。
前者は国家資格ですが、後者は素人が講習を受けた程度の知識でしかありません。ここで道を間違ってしまうと、後で悔やむ転職になりかねません。特に民間の職業紹介会社は、どうしても営利が絡みますので結果を出そうとするあまり公正とは言えない紹介をしかねません。
頼るならば、できるだけ非営利の場所が望ましいと言えるでしょう。しかし非営利の場所は、利益がかかる分、サービスが手厚いという利点も。この点については、後程詳しく述べます。
参考⇒転職するならハローワークと転職エージェントのどっちがおすすめ?
転職フェア、合同転職面接会、会社説明会などに参加する
転職フェア、合同転職面接会や会社説明会は、直接会社と話しが出来るという点では大変お勧めです。ハローワークなどが主催で行われるものもあります。また、一般のあっせん会社主催の場合も。
インターネットなどで開催情報が集まりますので、どんどん参加することをお勧めします。その際、必ず確認しておきたい事は欠員か増員かという点です。
増員でしたら、一から仕事を指導してもらえる可能性が高いものです。しかし、欠員ですと即戦力が求められます。
その場合、新しい環境で求められる即戦力が自分にあるか、をしっかりと見極める必要があります。また、欠員の場合はその会社の離職率が心配です。
ここは遠慮せずに『御社の離職率は年何パーセントくらいでしょうか』とストレートに聞いてしまう事をお勧めします。
その他、給与や将来性なども重要なポイント。遠慮せずにどんどんと質問することが大切です。ただし、会社側も質問してきた相手の事をしっかり見ています。
質問内容はしっかり答えられていても、言葉遣いや態度は社会人として適切なものかとポイントが大切。社会人として、恥ずかしくない言葉遣いをしっかりと身につけておきましょう。
転職活動で準備するもの
次に、物理的なものとして、何が必要かと考えてみましょう。スーツ、靴、時計などよほど特殊な業界でない限り、面接はスーツであることはすでに一度就職している人ならばご存知でしょう。しかし、今持っているスーツで良いや…と言えない場合もあります。
長年使い込んでいて、よれよれになっていませんか?
また、昔のリクルートスーツがタンスの肥やしになっていて、それを使おうとしていませんか?
サイズが合えばよいのですが、体形は変化するもの。サイズの合わない、あるいは使い込まれてよれよれになったスーツは決して良い印象を持たれるとは言えません。
そういう場合、高価なものである必要はありませんので、自分の体形にあったスーツを新調するようにしましょう。
■書類
すでに社会人経験をしている人ならば、どのような書類が必要かはもうお分かりでしょう。履歴書、職務経歴書の二つが必要となります。履歴書は手書きでもパソコン作成でかまいません。ただし、手書きの時は丁寧な文字で。また、職務経歴書はパソコンで作成するのが一般的です。
■ネット環境
現代の情報収集にはネット環境は必須です。スマートフォンでもある程度の情報収集は出来ます。しかし、やはり職務経歴書の作成などの事も考えるとパソコンとプリンター、そしてネットへの接続は必要となるでしょう。
くれぐれも今の会社のパソコンを利用したりしないように。会社は社員がどのようなサイトにアクセスしているかを監視しています。(これは合法です)転職先が決まる前に転職活動をしていることが、会社にばれてしまうと、いろいろと不都合があります。
■お金
転職には、意外とお金がかかるものです。面接会場までの交通費など…この点に関しては、次項で詳しく述べます。
転職活動中のお金と時間の準備について
転職活動中には、様々な費用が掛かります。転職活動を始めてみて『こんなはずではなかった』とならないように、事前にしっかりと準備をしておく必要があります。では、主にどのような形で費用が掛かるのでしょうか。
スーツ、靴などの被服費
いうまでもなく、面接はスーツで行われます。(デザイン業界など、特殊な事例を覗きますが。)
社会人でしたら、スーツ一式くらいは当然持っているかと思います。しかし、どのようなスーツでしょうか?すでに述べましたが、着古したスーツではありませんか?
面接官は面接時の短い時間であなたを判断します。その時に、もう何年も着続けてヨレヨレになったようなスーツだったら良い印象を持たれるでしょうか?
職種によっては、クライアントと直接会う事も必要になることも多いでしょう。その時にもやはりヨレたスーツ、履き古しの汚れた靴だったら…また、スーツの型にも流行があります。最新型の高価なブランド品である必要はありません。
- 清潔感がある
- スーツだけでなく、中のシャツのアイロン、ネクタイの柄にまできちんと気を配っている
- 適度に流行に合っている
- 何年も着ていてヨレヨレになっているという印象はない
- 靴は極端には着古した印象はなく、何よりもきちんと磨いてある
これらは最低条件として挙げられます。転職活動を始めるにあたり、気持ちを入れる意味でもスーツを新着する事はお勧めです。
交通費
先に挙げましたが、一社に付き数度の面接があります。それが10社近くとなると、交通費もばかには出来ません。まず交通費を準備するときに
- 転職セミナーはどこで行われているか (地方に住んでいる場合は、一日掛かりで行く必要もあります。)
- そのセミナーには何回くらい通えば自分で納得できると思えるか。
- 自分はどの地域に転職したいのか (現在の住まいから通える地域か。引っ越ししてでも構わないか。)
- 何社までの応募なら、対応できるか
- 一社に付き面接三回と考えて、トータルでいくらほどの交通費が必要か
などをざっと計算します。それにさらに昼食代などの予備費を考えて3割ほど上乗せした分を用意しておくと良いでしょう。できれば専用の口座を作り『転職資金』とします。
この資金が尽きるまでに、必ず良い転職先を見つけるぞ。という意気込みはモチベーションを挙げてれることでしょう。なお、転職活動が一年だと仮定すると、最低でも10万円は用意したい所です。
引っ越し費用
これは、転職先にもよります。まずは転職を決意した時点で、転職先の地域を決めておきましょう。引っ越しを考えるようでしたら、事前に引っ越し費用を貯金しておきましょう。引っ越し費用に関しては、距離によりさまざまです。『一番遠くて○○』と仮定して、算出しておくことをお勧めします。
時間
転職準備にかかる期間のお話はすでにしました。その他に、意外と悩ませられるのが『時間』です。面接は平日に行われます。しかし、そうそう会社を休めないのが現実でしょう。かといって、見切りで退職するリスクは最終手段としたいところです。職種により、空きやすい時間が午前、午後と違っていたりするかと思います。
- 半休を上手に使う
- 一日休んで数社を一日に打ちに受ける(スケジューリングに注意しましょう)
- 人材派遣会社のコンサルタントに頼る
などが良いでしょう。特に人材派遣会社のコンサルタントは、何かと融通を付けてくれます。本人の代わりに一次面接を受けてくれるところも。ここで大切なのは、実績のある派遣会社を利用する事。
後で詳しく説明しますが、スタッフの質の悪い派遣会社があるのは事実なので気を付けましょう。
転職活動の準備に失敗しないポイントと注意点
転職してから、前の会社の方が良かった…
こんなはずじゃなかった…
そんな風に後悔するのだけは避けたい所です。まず気を付けたいのは、派遣会社を使う場合。派遣会社は数が多い分、スタッフの質が一定していません。
小さな派遣会社を利用したら、スタッフの甘言に泣きを見た。大きな派遣会社だったけれど、同様にスタッフの甘言に泣きを見た。後で知ったが、評判が悪い所だった。などというケースも多くみられます。スタッフの質を見抜くのは簡単ではありません。
- 強引な引き抜きがある(他社の悪口を吹き込み、自分の担当の会社を無理やり進める)
- 給与の点であいまいに良いことを言う(実績のない昇給の話など)
- 不安をあおる事で自分のすすめる会社に就業させようとする (こんないい条件の会社はもうないですよ。年齢から考えて、これ以上の条件は無いですよ…など。)
こういった言動がある会社は絶対にかかわらないようにしましょう。民間の派遣会社は当然ながら営利企業。人材をあっせんすることで企業家からインセンティブをもらっています。また、実績を上げる事で社内の評価が上がるという面も。
そのためスタッフ教育のできていない会社ほど、強引な引き抜きをするものです。しかし自分の利益目当てに強引に勧められた会社が、いい会社だとは限りません。(というよりも強引に進めないと人が入りたがらない会社だともいえるのです。)
人材派遣会社は、いろいろと代行してくれて便利ではあります。
しかし、担当スタッフが信頼できる人物かをしっかりと見極めてください。あまりしつこく勧誘してくるようでしたらきっぱりと断る勇気を。
面接時の持ち物
常識的に考えて、書類を入れる鞄、ハンカチ、財布などでしょう。しかし気を付けたいのが、雨天の時。例えば、仕事の打ち合わせでクライアントと顔を合わせるとします。雨でびしょぬれになった人と、外は雨でも小ぎれいな恰好をした人。どちらと仕事をしたいと思うでしょうか?
雨の時は、タオル、靴、靴下は予備を持ち歩きましょう。スーツも濡れないように上着を脱いでビニールの上着を着ておくのもいいでしょう。最寄りの駅で着替えて、荷物はロッカーに。それが出来ない場合は、早めについてお手洗いで着替えさせてもらいましょう。荷物は控室の目立たない場所に置いておきます。
転職活動を就業中の会社にばれないようにする
就業中の会社から見たら、転職活動をしている人物というのはいつ辞められるか分からないという要注意人物となってしまいます。
また、転職を考えていると知られて引き止められてしまう、会社に居づらくなってしまう…などの弊害も考えられます。転職活動をしていることは決して社内で話さない事。
親しい同期に対してでも、です。同じ会社ですと酒宴の席でうっかり口を滑らされてしまい、上司の耳に入ってしまった…という例もあります。
一人で活動する孤独やプレッシャーに耐えることが転職活動なのだと割り切ってください。
年代によっても違ってくる転職活動
20代と40代とでは、会社側から求められるものは当然違ってきます。年代によって、転職活動でアピールするべきものは変わってくるもの。その点を意識することも大切です。
20代
この年代の求職者に対しては、企業側は将来性を求めて雇用を考えます。この年代でアピールするべきは何よりもやる気と熱意。
伸びしろのある人材だという印象を持たれる事が大切です。ただし20代前半くらいですと、逆に雇ってもまたすぐにやめられてしまうのではないかという不安を持たれがち。
年齢が若い場合は
- 前の職場から離れたい理由(この場合、人間関係をあげてしまうと不利ですので気を付けましょう)
- 新しい職場でどのようなスキルを身につけたいか
- 新しい職場に貢献する意欲があるか
などがアピールポイントとなります。
40代
ある程度のスキルと伸びしろの両方を求められる年代です。信頼できるスキルがあるのでしたら、転職市場では一番価値のある年代でもあります。だからこそ気を付けたいのが、転職したい理由。
自分の市場価値をあげたい、給与アップを狙いたい、さらに高いスキルを身につけたいなどのポジティブな理由でしたら転職してもいいですす。
しかし、中にはいったん会社を辞めてリフレッシュ期間を作りたい、人間関係が不満、仕事内容への不満(任される仕事が難しい、あるいはもっと重要な仕事を任されたいなど)などのネガティブな理由ならば今の会社に在籍したままで解決できる問題ではないでしょうか。一度冷静になって考えてみましょう。
30代、40代、50代の異職種への転職
また、今まで違う職種への転職は、難しい年代となってきます。しかし、決して不可能という訳ではありません。まずはキャリアコンサルタントに相談し、ポジティブなアドバイスをくれる人を見つけましょう。
甘い言葉ではなく、具体的にどんな職種に就きたいのか、そのためにどのような資格を身につければよいのか…などを真剣に考えてくれる人という意味です。よいアドバイザーと巡り合えるかどうかが、この年代のカギとなります。
30代
この年代でポジティブな理由で転職を考える人はすくないかもしれません。リストラや減収など厳しい現実の中にいる人が多いかと思います。
この年代で一番必要なのは今までのキャリアや技術。
外国語や理化学、設計などのキャリア。また製造業での特殊技術など。(NC旋盤などのキャリアは製造業では即戦力として喜ばれます)
しかし、この年代での正社員としての転職はそうとうな覚悟が必要です。熱意と粘り強さ、何社落ちても決して折れない心が必要となります。また、減収も覚悟しなければならない場合もあるでしょう。
40代
40代だからこそ需要のある職種もある。40代で正社員として需要の多い分野は運転手(タクシー、トラックなど)、介護職です。特に介護職は体力的に過酷ではありますが、将来性は見込めます。
段階的に資格を取り続け、数年後には管理職についていた…という例も多数。働きながら資格を取るという事は並大抵の事ではありません。
しかし、まだ気力体力のある年代。覚悟を決めて人生を切り開いていって欲しいと思います。
50代
この年代は本当に厳しく、シニア向けの仕事しかない場合も。正社員を望むことは難しいでしょう。しかし、今までの人生の総集編ともいえる年代。積み重ね続けてきた技術が確かなものですと、むしろ引っ張りだこな可能性も。特に製造業に関しては、技術がものを言います。
経験豊富な50才代の方が喜ばれる場合もあります。事実、さらに上の年齢で定年退職をしようとした人物が、その技術(製造業)を買われ下請け会社からスカウトされる例もあります。現場の他、技術指導が出来る年代というメリットも大きいものです。
また、まだ気力があるようでしたら海外に目を向けるのも良いでしょう。日本の製造技術は世界でも非常に高い水準にあり、経験者は重宝されています。ただし、外国語が出来る事が前提となってしまうのがネックかもしれません。
また、そういった技術のない場合は厳しいようですが正社員は諦める覚悟が必要です。地道に出来る事を探すことをお勧めします。
まとめ
いかがですか?一口に転職活動と言っても、その理由や活動期間は人それぞれ。ここでは、一般的な事例をもとにまとめてみました。
大切な事は転職後にそれまで以上に生き生きと働くことが出来る事。そのためにも事前準備をしっかりする必要があります。良かったと心から思える転職で、生き生きとした毎日を過ごせる事をお祈りいたします。